2014年度
①第53回大会シンポジウム「e-ヘルスケアのこれまでとこれから」主催 於 仙台国際センター(平成26年6月24日)
②第1回美容皮膚理工学シンポジウム と共催 於 関東学院大学KGUメディアセンター(平成26年12月6日)
③第51回研究会 於 関東学院大学KGUメディアセンター(平成26年12月16日)
総括
6月に、仙台国際センターに於いて、第53回日本生体医工学会全国大会のシンポジウム「e-ヘルスケアのこれまでとこれから」を企画し、第49回研究会が開催された。そのシンポジウムでは、「さりげない健康センシングに向けたウェットデバイス技術の開拓」と題して西澤松彦先生(東北大学工学研究科)のセンサー技術に加え、「e-Healthに関するNTTの取り組みと標準化動向」と題した石榑康雄先生(日本電信電話株式会社 NTTセキュアプラットフォーム研究所)の招待講演を含む、合計5つの演題が発表された。12月初旬には、関東学院大学KGU関内メディアセンターに於いて、第1回美容皮膚理工学シンポジウムとの共催で、第50回研究会が開催された。そこでは、畑三恵子先生(高野医科クリニック院長)を特別講演の演者の一人としてお招きし「皮膚科医から見た美容皮膚科学の現状と展望」と題して講演頂いた。12月中旬に、第51回研究会が、「スポーツ科学における生体信号計測・解釈」をメインテーマに、関東学院大学KGU関内メディアセンターに於いて開催された。篠原稔先生(米国ジョージア工科大学応用生理学部)を特別招待講演の演者としてお招きして「身体運動研究におけるヒト神経筋信号の活用」と題して、運動時における生体信号計測、主に筋電図計測における問題を提起されるとともに、豊富な具体例を取り入れながらスポーツ科学、運動生理学の先端的研究を掘り下げて講演頂いた。そのほか一般演題として、「心機能・自律神経系機能解釈のための信号処理」、「脳神経系機能解釈のための信号処理」をテーマに合計8件、発表があった。総括としては、本年度も、昨年度に引き続き、脳神経系での信号計測・処理・解釈・モデリングに関する演題が多数提供される傾向にあって、来年度も周辺領域のテーマを本研究会でのメインストリームとして活性化していく予定である。また、次の世代を担うこの領域の若手研究者の人材発掘に尽力していく予定である。
2013年度
①LE2013「ライフエンジニアリング分野における神経科学の貢献」と共催、於 慶応義塾大学(平成25年9月14日)
②電子情報通信学会 MEとバイオサイバネティクス研究会・NC研究会と共催、於 東北大学(平成25年11月22日)
③第48回研究会、 於 関東学院大学 KGU関内メディアセンター(平成25年12月16日)
総括
9月に、慶應義塾大学日吉キャンパスに於いて、計測自動制御学会ライフエンジニアリング部門シンポジウム2013のオーガナイズドセッション「ライフエンジニアリング分野における神経科学の貢献」と共催で、第46回研究会が開催された。そのOSでは、Processing of biosignals for safe applications(新潟大学 木竜徹先生)をはじめとし、合計5つの演題が発表された。11月には、東北大学青葉山キャンパスに於いて、電子情報通信学会MEとバイオサイバネティクス研究会、およびニューロコンピューティング研究会との共催で、第47回研究会が開催された。そこでは、野村 M. 慎一朗 先生(東北大学工学研究科バイオロボティクス専攻)を特別招待講演の演者としてお招きし「人工細胞モデルの設計と構築」と題して講演頂いた。なお、この特別招待講演は、本研究会が企画した。12月に、第48回研究会が、「生体計測技術と信号処理」をメインテーマに、関東学院大学KGU関内メディアセンターに於いて開催された。戸田尚宏先生(愛知県立大学情報科学部)を特別招待講演の演者としてお招きして「生体電気信号中の交流雑音除去と高次スペクトル解析」と題して、脳波計測のためのアンプと信号処理について掘り下げて講演頂いた。一般演題として、「心機能・自律神経系機能解釈のための信号処理」をテーマに3件、「脳神経系機能解釈のための信号処理」をテーマに4件、発表があった。総括としては、本年度も、脳神経系での信号計測・処理・解釈・モデリングに関する演題が多数提供される傾向にあり、今後も周辺領域のテーマを本研究会での一つのストリームとして活性化していく予定である。
2008年度「生体信号計測・解釈研究会」活動報告
開催報告
総括 第23回生体・生理工学シンポジウムでは「分子イメージングの最前線」と題したOSを開催した。理研・中井、生理研・根本、東北大・小原、東北福祉 大・坪川を講演者として迎えて、新しい蛍光色素を用いたイメージングや2光子顕微鏡などのツールの最前線とそれの細胞への適用について議論した。イメージ ング技術の重要性のみならず技術が抱える困難さについても理解を深めた。 今年度、研究会のWebページを充実させる予定であったが、担当者の健康状態もあって叶わなかった。来年度の課題としたい。
|
2007年度「生体信号計測・解釈研究会」活動報告
開催報告
総括 SSI2007では「生体システムから見た睡眠」と題したOSを開催した。いまや睡眠は個々人の健康のみならず社会的な安全を守る上でも重要である と広く認識されるに至っている。ここでは、精神科臨床、神経障害、脳機能の維持・発達と睡眠との関係について一線で活躍している研究者に研究の最前線につ いて講演して頂いた。睡眠というシステムレベルの生理現象とニューロン、分子レベルの知見とをリンクさせるのにモデリングの役割は大きいことが示された。
|
2006年度「生体信号計測・解釈研究会」活動報告
開催報告
総括 生体・生理工学シンポジウムのOS「細胞内のゆらぎと機能」では。細胞内の分子計測が可能になってきたことからそのダイナミックな振舞いを機能的に 解釈するモデル化研究について議論した。また、引き続くOS「フィジオーム:階層間を横断するモデル化はできるか」においてはポストゲノム時代に求められ る深い階層構造、具体的には、イオンチャネルから細胞ネットワーク、遺伝子発現から行動リズム、赤血球から血流、遺伝子発現から細胞機能、をモデル化する 戦略について広く議論した。 以上、生体信号解釈の重要性とモデル化の最前線について周知するよい機会を提供できたものと考える。
|
2005年度「生体信号計測・解釈研究会」活動報告
開催報告
総括 春季大会でのOS「バイオインフォマティクスの現在」では、統計科学的手法や統計的学習理論、DNAチップ、分子ネットワークダイナミクスのモデリ ングなどポストゲノム時代に求められるバイオインフォマティクスの基本技術について議論し、現状と問題点について明らかにした。生体・生理工学シンポジウ ムのOS「生体・生理工学のスポーツ・健康・福祉産業応用」では生体信号処理を基盤技術とした生体・生理工学のスポーツ・健康・福祉産業への研究展開につ いて議論し、その可能性について確認した。 11月と3月には電子情報通信学会のMEとサイバネティクス研究会および九州支部大会とそれぞれ共催で研究会を行うと共に、非線形力学系によるモデル化、ブラインド信号分離の最先端技術、生体情報解析の自動車工学への応用について特別講演会を実施した。 以上、会員同士の研究交流と共に、生体信号解釈の重要性と最前線について周知するよい機会を提供できたものと考える。
|
2004年度「生体信号計測・解釈研究会」活動報告
第26回研究会は平成16年6月5日に、第43回大会のオーガナイズドセッション「生体情報の無侵襲長期計測」として開催した(参加者40名)。演 題と演者は、「高齢者の日常生活における歩数計・血圧計データの検討」(富山大工・中島一樹)、「体調管理を目指したジョギング支援システム」(立命館大 理工・牧川方昭)、「自律神経活動の時間的振る舞いを参照することによる聴覚心理実験の評価」(新潟大院自然科学・岩城護)、「住宅内生活行動の長期蓄積 情報解析」 (産総研・松岡克典)、「心房細動における心拍ゆらぎ解析の意義」(名古屋市立大院医・早野順一郎)、「生体長期ゆらぎにみられるスケール不変性」(東大 院教、科学技術振興機構・山本義春)の6件であった。ここでは心臓や行動に関する生理的パラメータの非侵襲計測に焦点を絞り、実験と解析方法の両面から議 論を行った。 第27回研究会は、平成16年10月8日に、第18回生体・生理工学シンポジウムのオーガナイズドセッション「生体・生理工学のスポーツ・健康・福 祉産業応用」として開催した(参加者50名)。演題と演者は、「MEG信号による受動・能動動作前の予測・意志計測」(立命館大理工・松林淳子)、「心臓 血管系のストレス応答機構の数理モデル化」(産総研・吉野公三)、「運動機能評価のための計測・解析機能分散型支援システムの開発」(新潟大院自然科学・ 青木航太)、「オンサイトでの生体情報フィードバックのコーチングへの効果」(新潟大院自然科学・村山敏夫)、「Wingate anaerobic test時における生体機能評価」 (新潟大院自然科学・馬場裕子)、「騎乗型他動訓練機を用いた訓練による筋力増強効果の検討」(松下電工・三原いずみ)、「中高年者のための音符表示演奏 システムの開発」(阪大院工・藤本慎一郎)、「寝床内温度FB機能付きエアーコントロール布団の使用が睡眠に及ぼす影響」(三洋電機・岡田志麻)、「エア マッサージが生体に及ぼす影響」(三洋電機・阪井英隆)の9件であった。このセッションは生理学的パラメータ計測から抽出される生体情報の産業応用の可能 性についてメーカからの発表者も交えて議論した。我々の蓄積してきた生体情報計測や解析に関する知識が産業にも結び付くことが改めて認識された。 第28回研究会は、平成16年10月21日に、第18回秋季大会のオーガナイズドセッション「生体システムの詳細モデルと抽象モデル」として開催し た(参加者50 名)。演者と演題は、「サーカディアンリズムの結合振動子モデルと時計遺伝子モデルの分岐解析」(徳島大医・吉永哲哉)、「非線形モデルの構造とダイナミ クス:Hodgkin-Huxley型モデルはどこまで信用できるか」(阪大院工・土居伸二)、「ERK経路のダイナミクスの解析」(東大院情報理工・尾 崎裕一)、「運動制御系における神経興奮・神経回路・筋骨格系の動態モデリングに向けて」 (阪大院基礎工・野村泰伸)、「数理モデルにおける普遍性と個別性」(東大院情報理工・合原一幸)の一般講演5件であった。同じモデルといっても様々な目 的や機能がある。ポストゲノム時代のモデルは分子から行動レベルまで折り重なる階層を相手にすることが求められている。本OSでは、そのような要請に対す る戦略について実例を交えて議論した。 生体信号処理はあらゆるME分野の根幹をなす技術の一つである。したがって、このような基幹分野を継続的に扱う研究交流の場として機能していく。さらに、 ポストゲノムからフィジオームへと至るシステム論的な研究分野を開拓していきたい。 |
2003年度「生体信号計測・解釈研究会」活動報告
第23回研究会は平成15年6月5日に、第42回大会のオーガナイズドセッション「生物リズムの階層」として開催した(参加者60名)。演題と演者 は、「拍動リズムのゆらぎとダイナミクス:リズム制御の階層構造」(北大・河原剛一)、「生物リズムの階層:心臓」(名市大医・早野順一郎)、「ネコの歩 行リズム生成・制御機構の構築と機能的特徴」(札幌医大・松山清治)、「運動リズムの生成・制御モデルの構築における階層性」(阪大基礎工・野村泰伸)、 「概日リズムの生成と進化の数理」(阪府大工・大同寛明)、「ヒト日周リズムの位相振動子モデル−階層をたどる枠組み−」(東北大情報・中尾光之)の6件 であった。ここでは心臓、歩行、日周の生体リズムにおける特異性と普遍性、およびリズムの階層的な成り立ちに焦点を絞り、実験とモデル化の両面から議論を 行った。
第24回研究会は、平成15年10月8日に、第18回生体・生理工学シンポジウムのオーガナイズドセッション「分子レベルのウェットでドライな話」 として開催した(参加者40名)。演題と演者は、「DNAの物理と遺伝子発現の制御」(東大理・佐野雅巳)、「生命現象の物理」(京大理・吉川研一)、 「シアノバクテリアの生物時計システムの分子基盤」(名大理・岩崎秀雄)、「遺伝子調節系における熱揺らぎの機能的役割」(阪大基礎工・下川哲也他)の4 件であった。このセッションは本研究会の分子レベルへの展開を期して開催したものである。
これまでは従来の酵素反応系の枠組みで転写・翻訳ループのダイナミクスが記述されてきたが、実際には、確率的なゆらぎを考慮する必要があることが実験・理論の両面から指摘された。このことから我々の蓄積してきた知識が有効に発揮できる分野であることが改めて認識された。
第25回研究会は、平成15年10月21日に、第17回秋季大会のオーガナイズドセッション「生体信号解析の広がり」として開催した(参加者80名)。演者と演題は、「特別講演1:
信号理論における時間と周波数の相克」(阪大基礎工・佐藤俊輔)、「特別講演2:
エントロピー・ダイバージェンス・そして最尤法と信号解析」(近大生物理工・吉川昭他)、「統計力学的手法に基づく心拍変動の解析」(阪大基礎工・中村亨他)、「大腿部alternative
dynamic occlusionによる心拍リズムゆらぎの解析」(山形大工・新関久一)、「ブラインド信号分離を点時系列に使ってみる」(東北大情報・佐藤道由他)の特別講演2件、一般講演3件であった。
本学会における信号処理を標榜する研究会は、1982年に鈴木良次先生が「時系列的生体情報の計測・処理研究会」を始められてから20年(8世代) が経過した。この間、スペクトル解析、確率過程の応用技法、時間周波数解析、非線形信号解析、モデリング手法など様々なテーマをめぐって議論が行われてき た。本研究会はこのような新しい解析法を常に取り込みながら20年を歩んできた。単なる信号解析といってもその奥は深い。
これまで、この分野をリードして来られた先生方にその本質についてご講演頂くと共に、新しい世代の技術についても、その広がりについて示すセッショ ンとなった。生体信号処理はあらゆるME分野の根幹をなす技術の一つである。したがって、このような基幹分野を継続的に扱う研究交流の場として機能してい く。さらに、ポストゲノムからフィジオームへと至るシステム論的な研究分野を開拓していきたい。
2002年度「生体機能の計測と解釈のための信号処理研究会」活動報告 第21会研究 会は平成14年9月9日に、北海道大学で開催された「生体・生理工シンポジウム」との共催とした(参加者60名)。6件の一般演題のうち、生体信号処理に 関する話題が3件(正常及び癲癇性異常脳波のフーリエ解析とウェーブレット解析、平均2乗誤差を改善するエントロピー推定量、呼吸情報に着目した呼吸性洞 性不整脈の抽出精度の向上)、生体信号の生理的解釈に関する話題が3件(自己運動感を伴う映像の動きベクトルによる生体影響、スキー運動時における心拍変 動と筋活動からみた運動機能変化の解析、筋音図の計測と処理)であった。
第22回研究会は、平成15年3月14日に、東北大学電気通信研究所で開催された「生体・生命工学研究会」との共催で行われた(参加者40名)。 「脳の神経細胞の新生を促進する物質と抑制する物質」と題して東北大学大学院情報科学研究科の内田克哉先生に特別講演を行って頂いたあと、5件の一般講演 があった。生体システムのモデル化に関する話題3件(バースト発火ニューロンによる状態遷移、振動子ニューラルネットワークのダイナミクス、拘束条件生成 と拘束充足による二脚歩行のリアルタイム制御)、生体信号計測と解析に関する話題2件(重力負荷に対する心臓血管系の応答特性、心筋細胞集団の時空間ダイ ナミクスの光学計測)であった。 また、研究会がこの2年くらい新らしい信号処理技術としてその流れを追跡してきた「ブラインド信号分離」のまとめとして、BME誌5号で特集「ブラ インド信号分離とその生体信号処理への応用」を組むことができた。企画には前会長の木竜と現会長の中尾があたり、研究会の”常連”の研究者の何人かが執筆 者として参加している。 具体的なテーマとしては、最新のブラインド信号分離技術に関する理論的な側面に関するもの3件(ICA/BSS理論の動向について、ブラインド分離 とその脳波・音声・画像解析などへの応用、ブラインド信号分離の胃電データへの応用)、ブラインド信号処理技術の応用に関するテーマが3件(ブラインド信 号分離とfMRI画像解析への応用、ブラインド信号分離技術の表面筋電図による運動単位活動電位計測への応用、ブラインド信号分離技術のてんかん脳波解析 への応用)であった。 今年度は会長交代ならびに幹事を刷新した。引き継ぎが必ずしもうまく行かず、恒例化している春季および秋季大会でオーガナイズド・セッションを組織 することはできなかった。しかしながら、一方で、研究会ホームページ(http://spmibf.bsp.bc.niigata-u.ac.jp)の充 実(過去の特別講演映像のライブラリ化、論文のPDF化)を行った。生体信号処理はあらゆるME分野の根幹をなす技術の一つである。したがって、このよう な基幹分野を継続的に扱う研究交流の場として機能していく。さらに、ポストゲノムからフィジオームへと至るシステム論的な研究分野を開拓していきたい。
|
「生体機能の計測と解釈のための信号処理」研究会 平成13年度事業報告(2001.4.1〜2002.3.31見込み) 開催回数 2回開催時期 2001年8月31日(北里大学,参加者40名)
2002年3月29,30日(東京大学,参加者*名)
総括
昨年度末に開催された第18回研究会から報告する.第18回研究会は3月28日(水)に,立命館大学びわこ・くさつキャンパスで開催された電子情報 通信学会総合大会の中でオーガナイズドセッション(多変量生体信号からの機能活動の解釈)として実施した(参加者約20名).現在,多変量時系列の計測は 容易なものとなり,この様な多変量・多次元時系列を解釈し,その次のステップに結び付けていこうとする努力が進められている.発表の最初は,映像が与える 生体へのストレスを映像の動きベクトルと心電図,血圧,呼吸などの多変量生体信号時系列とを関連付けて議論しようとする試みが報告された.2件目の快適な 睡眠を可能にする寝所の開発では,シーツに張ったセンサで多次元の温度分布を計測し,電気毛布の温度コントロールを狙ったものである.3件目は,てんかん の部位を特定する方法として,多次元の脳波を独立成分分析することで発作の焦点からの伝播を表現した報告であった.最後に,重心動揺と視覚フィードバック とを検討した報告があった.この場合,視覚情報,重心情報,さらに筋活動も計測して総合的なモデル化を目指していた. 第19回研究会は8月31日(金)に,北里大学相模原キャンパスで開催された「生体・生理工学シンポジュウム」との共催とした(参加者約40 名).9件の一般演題のうち運動や活動に関する課題が3件(アシスト機能を持つ自転車運動時での生体機能の変化,加速度センサと心拍センサを用いた身体活 動計測システム,腕部と脚部の相関に着目した歩行運動の解析),脳波関連が2件(曖昧な視覚情報提示に伴う脳波の時間的変化,視線文字入力インタフェース における誘発脳波を入力正誤判定に用いるための解析手法の検討),筋活動関連が4件(発火パターンが筋活動状態評価法に与える影響,表面電極による筋疲労 時の運動単位活動電位の測定,短時間フーリエ変換法を用いた持続性筋収縮過程の筋音図の分析,Triggered PSTH 法に関する統計学的検定手法の提案)であった. これらを生体信号処理の観点から分類すると,周波数解析が4件,多変量解析が3件,計測法に関する解析手法が3件,生体信号のモデリング関連が4件 となる.なお,生体・生理工学シンポジュウムは本研究会と最も関係の深いシンポジュウムであり,専門別研究会としてのセッション以外でも,数多くの生体信 号処理や生体モデルの発表が行われていた.このように,生体・生理工学シンポジュウムなどの動向をみてみると,生体信号処理は様々な分野で利用されてお り,何らかの対象に対して様々な方法を試み比較しているのが現状である.その中で,より生体の機能を解釈しようとする生体モデルのような研究が進んできて いる点は注目に値する.この生体機能のモデリングなしには適切な信号処理は難しいと考えている. 最後に,第20回研究会は3月29,30日に東京大学での開催を予定している.特に,自律神経系に関するシンポジュウムとして「自律神経系解析・応 用の常識・非常識」を企画した.これは,これまで専門別研究会で中心的な話題であり続けた自律神経系の解析に関して,全体的なステップアップを図るための 企画である.これによって,この分野の研究の新たな課題を明らかにしたい. なお,例年秋季大会に参加しているが,平成13年度は研究会長の怠慢で開催登録を見過ごしてしまい,開催できなかった.また,別途開催する時機を逸してしまった.今後,この様なことが無いようにしたい. |
「生体機能の計測と解釈のための信号処理」研究会 平成12年度事業報告
(2000.4.1〜2001.3.31見込み)
開催回数 3回
開催時期
2000年10月13日(名古屋工業大学,参加者40名)
2000年10月25日(徳島県郷土文化会館,参加者60名)
2001年 3月28日(立命館大学,参加者*名)
総括
第16回研究会は10月13日に名古屋工業大学で開催された「第15回生体・生理工学シンポジュウム」との共催であった.9件の一般演題のうち,心 機能解釈のための時系列を取り扱えるニューラルネットワークTDNNを用いたホルター心電図自動識別法,複数種類の染色体の数的異常を画像解析によって自 動計数するシステム,画像規模でのコンパートメントモデル解析のための高速手法,さらに,固有値分解を基礎にした曖昧な情報提示時における脳波の解析,両 耳間時間差をもつ音刺激に対する脳活動のMEG計測が午前中のセッションで発表され,午後からのセッションでは,加速度センサを用いた脳卒中片麻痺患者の 歩行評価法の検討,生体信号無拘束計測装置による高齢者の日常生活活動量の長時間計測,および電気刺激による筋振動および筋疲労の計測や繰り返しスキー運 動時での運動機能変化過程の解釈について発表があった.生体・生理工学シンポジュウムは本研究会と最も関係の深いシンポジュウムとなってきている.
第17回研究会は「第13回日本ME学会秋季大会」の専門別研究会セッションとして,徳島県郷土文化会館で10月25日に開催した.教育講演には金 井寛先生(上智大学)に「電気インピーダンスによる生体計測」と題して,その問題点や新たな可能性のお話を頂戴した.特に,新たな可能性として,脂肪や骨 に関する計測情報,運動の効果,筋の異方性などの話題が紹介され,生体機能の計測と評価には,正しい理解が必要なことをあらためて実感させられた講演で あった.一般講演の演題では,最初に,計測時の電極に関する注意点と現在の応用として生体電気インピーダンスを用いた歩行や嚥下障害の計測結果について発 表,次に,電気的アドミッタンス法による心拍出量の計測に関して64チャネルインピーダンスマッピングシステムに関する報告があった.また,電気インピー ダンス法の興味深い応用として,動脈硬化発生プロセスを探る上で重要な血管内皮細胞と単球との相互の微細運動を電気インピーダンスから計測する発表,最後 に,局所組織に対するインピーダンスの空間分布計測を目的とした分割電極の構造や配置をコンピュータシミュレーションで設計する方法の話題が提供された.
今回の企画は,「生体機能の計測と解釈」に関して中四国地方で盛んな「電気インピーダンス」を取り上げた.生体信号処理がもはや信号処理だけでな く,その計測法や解釈にも大きく関与しなければならないことは明白であり,様々な分野における信号処理の必要性を探るにはよい企画であった.
また,参加者約60名は秋季大会でのこの分野の参加者としては非常に多い結果となった.今後もよい企画を秋季大会にあわせて実施していきたいと考えている.
第18回研究会は,電子情報通信学会の総合全国大会でのオーガナイズド
セッションとして開催する.
研究会長 新潟大学大学院自然科学研究科
木竜 徹
開 催
1999年10月7日(神戸大学,参加者40名)
1999年10月28日(千里ライフサイエンスセンター,参加者60名)
1999年11月28日(立命館大学,参加者25名)
総 括
本年度は主催での研究会(1回),計測自動制御学会との共催の研究会(1回),バイオメカニズム学会との共催の研究会(1回)を開催した.なお, 研究会が関西に集中し,演題申し込み時期が同時期であったため,春から夏にかけての研究会開催が不可能であった.ただし,研究会幹事による第38回日本エ ム・イー学会大会でのオーガナイズドセッション「生体信号処理,ゆらぎ ー生体信号処理が明らかにするもの,あるいはしないものー」を4月22日に開催し た.100名近い参加者を得て盛況であった.さて,通算第13回の研究会は10月7日に神戸大学にて,「第14回生体・生理工学シンポジュウム」との共催 で開催した.心拍変動解析が2件,不等間隔サンプリングの話題が1件,モニタリングシステムが2件,加速度センサによる歩行解析,筋機能解析,MEG信号 処理,血流分布イメージング,動脈圧波形の分類,生体組織インピーダンス推定がそれぞれ1件であった.第14回研究会は「第13回日本ME学会秋季大会」 の専門別研究会セッションとして,千里ライフサイエンスセンター(豊中)で10月28日に開催した.これまでの経験から教育講演とし,脳機能解析,生体ゆ らぎの機能的意義,非定常周波数スペクトル解析について時間をかけた討論を行った.その結果,例年の秋季大会に比べて非常に多くの参加者となった.通産第 15回の研究会は11月28日に立命館大学にて,「第20回バイオメカニズム学術講演会」との共催で開催した.モニタ装置,光,温度などの応用,感覚計測 など生体機能計測が5件,自律神経機能,運動機能に関する生体機能解釈が3件,呼吸波形,振戦等の生体信号処理が2件であった.
本研究会ではメイリングリストをspmibf@bsp.bc.niigata-u.ac.jpで運営するとともに,まとまった情報をhttp://spmibf.bsp.bc.niigata-u.ac.jpを通じて流している.また,研究会としては論文集のPDF化を行ってWebsiteに掲示している.
研究会の今後の展望
来年度は主催3回,バイオフィードバック学会との共催1回,生体生理工学シンポジュウムとの共催1回を予定している.話題性のある教育講演,生体 信号計測の実演,生体信号解析の実演なども実施し,Website上へのライブラリー化をはかる.テーマとしては,特に,生体計測,生体モデル,多次元信 号処理,時間周波数解析,確率・統計モデルなどを用いて,医療から健康,福祉までの分野で生体信号に関わる基礎から応用までの様々なテーマを議論していく 予定である.
本会への要望・意見
数多くの国際会議,全国大会,各種研究会がある中,これらの内容やスケジュール情報は,専門別研究会運営上,必須の情報となっている.このこと は,経費や時間,場所の点で効率的な専門別研究会運営を進めるため,専門別研究会の情報化が同時に必要なことを物語っている.一方で,学会全体としては情 報化が立ち遅れ,専門別研究会の間でも温度差もある.したがって,学会全体として総合的な観点から研究活動の情報化に関して検討していただければ幸いであ る.
平成12年度暫定会長 氏名 木竜 徹
平成12年度暫定幹事 氏名
赤松幹之(通産省工業技術院生命工学工業技術研究所生体情報部),岡 久雄(岡山大学工学部電気電子工学科),小笠原 康夫(川崎医科大学医用工学),清水孝一(北海道大学大学院工学研究科),鈴木幸司(室蘭工業大学情報工学科),戸田尚宏(豊橋技術科学大学情報工学 系),中尾光之(東北大学大学院情報科学研究科),野村泰伸(大阪大学大学院基礎工学研究科),早野順一郎(名古屋市立大学医学部),福本一朗(長岡技術 科学大学生物系医用生体工学教室),牧川方昭(立命館大学理工学部ロボティクス学科),三田勝己(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所),八名和夫 (法政大学工学部電子情報学科),山本義春 (東京大学大学院教育学研究科),山家智之(東北大学加齢医学研究所),吉田正樹(神戸大学工学部情報知能工学科)
研究会長 新潟大学大学院自然科学研究科
木竜 徹
開 催
1998年6月13日(立命館大学,参加者50名)
1998年9月10日(金沢大学,参加者40名)
1998年11月6日(メルパルク郵便貯金会館(新潟),参加者50名)
1999年3月20日(東京大学,参加者50名)
総 括
本年度は主催での研究会(3回),計測自動制御学会との共催の研究会(1回)を開催した.通算して第9回の研究会は6月13日に,立命館大学にお いて行った.演題は,生体信号計測装置が3件,音声,筋電図,動脈硬化診断などの信号処理が3件,スポーツ・リハビリテーション関連が5件,加速度セン サーによる身体活動の計測が2件であった.また,民間との共同研究が盛んな立命館大理工学部の「リエゾン活動と技術移転」について,立命館大学リエゾンオ フィス室長の田中道七立命館大学名誉教授の特別講演があった.本研究会で発表されてきた話題は社会的貢献が期待される分野が多く,技術移転を視野に入れた 研究活動の必要性を重視していきたい.第10回の研究会は9月10日に金沢大学にて,「第13回生体・生理工学シンポジュウム」との共催で開催した.心拍 変動を対象にした発表が6件,加速度センサーによる行動様式の計測が2件,筋疲労,表面皮膚振動,磁界による脳機能計測が各々1件の発表があった.第11 回研究会は「第12回日本ME学会秋季大会」の専門別研究会セッションとして,メルパルク郵便貯金会館(新潟)で開催した.計測対象と評価する生体機能と の新たな組み合わせを求めて,心拍,筋活動関連が4件,脳機能などの信号処理が2件,生体信号計測装置が1件の発表があった.また,Akay教授によるラ ンチョンセミナー「Time-FrequencyAnalysisinBiosignalProcessing」を主催した.第12回の研究会は3月20 日に,東京大学において行った.演題は,映像や視覚負荷に対する生体信号の解析が3件,超音波断層像の立体視が1件,血管コンプライアンスの算出が1件, 自発脳磁界の解析が1件,肘単関節運動の再構成が1件であった.その後,Davis博士によるリハビリテーションにおける運動時の信号解釈に関するラン チョンセミナーを開催した.午後は,「生体信号解釈の最近の話題−プログレス・レポート−」として,歩行モデル,確率共振現象,長周期ゆらぎに関する最近 の話題が提供された.参加者も多く,これらの話題に対する関心の高さを伺わせた.
これまで研究会に発表されてきた内容の傾向を眺めると,生体機 能の効率的な計測,生体機能のモデル化を目指した解釈,生体機能の評価指標の推定などの研 究が進んできている.この中には,いわゆる高齢化社会に貢献できる技術も多いように思われる.具体的に社会に研究成果を還元する場面を意識して,研究レベ ルの向上を図ってもらいたいと感じている.
本研究会ではメイリングリストをspmibf@times.niigata-u.ac.jpで運営するとともに,まとまった情報をhttp://www.mbe.bio.eng.niigata-u.ac.jp/spmibf/を通じて流している.また,研究会としては論文集のPDF化を行ってWebsiteに掲示している.論文集のPDF化は広く論文集を配布する手段として,また,研究活動の記録として,この分野を目指す若手研究者の情報源となることを期待している.
研究会の今後の展望
来年度は,主催3回,生体生理工学シンポジュウムとの共催1回,電子情報通信学会との共催1回,バイオメカニズム学術講演会との共催1回を予定し ている.特別講演以外に,実際に生体信号計測を実演しながら,その場で生体信号解析まで行ってみる試みを引き続き実施する.特に,生体計測,生体モデル, 多次元信号処理,時間周波数解析などを用いて,医療から健康,福祉までの分野で生体信号に関わる基礎から応用までの様々なテーマを議論していく予定であ る.
本会への要望・意見(昨年度の報告書と同じ意見です)
研究会を情報化するため,また経費の削減のため論文集をPDF化してきている.この方式を公開し,他の研究会でも利用できるかどうか検討していた だければ幸いである.また,国際会議,全国大会,各種研究会が多い中,各研究会がどの様な工夫をされているのか,研究会相互連絡用にメイリングリストを学 会で運営していただけないであろうか?
平成11年度会長 氏名 木竜 徹>
平成11年度幹事 氏名
赤松幹之(通産省工業技術院生命工学工業技術研究所生体情報部),岡 久雄(岡山大学工学部電気電子工学科),小笠原 康夫(川崎医科大学医用工学),清水孝一(北海道大学大学院工学研究科),鈴木幸司(室蘭工業大学情報工学科),戸田尚宏(豊橋技術科学大学情報工学 系),中尾光之(東北大学大学院情報科学研究科),野村泰伸(大阪大学大学院基礎工学研究科),早野順一郎(名古屋市立大学医学部),福本一朗(長岡技術 科学大学生物系医用生体工学教室),牧川方昭(立命館大学理工学部ロボティクス学科),三田勝己(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所),八名和夫 (法政大学工学部電子情報学科),山本義春 (東京大学大学院教育学研究科),山家智之(東北大学加齢医学研究所),吉田正樹(神戸大学工学部情報知能工学科)
開 催
1997年6月13日(ペアーレ神戸,参加者40名)
1997年9月27日(新潟大学,参加者30名)
1997年11月7日(東北大学,参加者40名)
1997年11月20日(慶応大学,参加者30名)
1998年2月14日(名古屋市立医科大学,参加者30名)
総 括
本年度はの実演を兼ねた信号処理講演会(1回)と主催での研究会(3回),電子情報通信学会との共催での研究会(2回),計測自動制御学会との共 催の研究会(1回)を開催した.通算して第4回の研究会は6月13日に,ペアーレ神戸(社会保険神戸健康づくりセンター)において行った.演題は,自律神 経系の関与する生体振戦,心拍変動,胃電図に関するテーマが3件,筋疲労,冠動脈血流の可視化,遠隔生体信号収集へのWeb技術の応用が各1件であった. さらに,特別実習を実施した.特別実習では,最初に「生体計測の基礎」,「生体信号の基礎」の解説の後,実際の心電図や筋電図の解析が臨床の場でどの様に 行われているのか,様々な例が提示された.今後も,適時,特別実習が行える機会を探る予定である.第5,6回の研究会は9月27日に新潟大学工学部,11 月7日に東北大学加齢医学研究所で,ともに電子情報通信学会「MEとバイオサイバネティックス研究会」との共催で行った.第5回では時系列処理が3件,機 能補助関連が3件,画像処理関連が2件,数理モデルが1件であった.第6回では,膜の科学3件,バーチャルリアリティ2件,感覚情報3件,循環器3件,心 電図4件,FES3件の発表があった.第7回は慶応大学で開催された秋季大会の中で実施した.脈波時系列の非線形モデル,歩行周期時系列のフラクタル解 析,さらに,心雑音のウェーブレット解析による判別,心拍変動の1/f特性の研究,ストレスの経時変化の主成分分析,そして高齢者向け話速同期映像システ ムの発表があった.第8回は名古屋市立医科大学で心拍変動の信号処理や様々な応用例をテーマに開催する予定である(計測自動制御学会との共催).内容の詳 細はWeb Site を参照のこと.
本研究会ではメイリングリストをspmibf@times.niigata-u.ac.jpで運営するとともに,まとまった情報をhttp://www.info.niigata-u.ac.jp/times/spmibf/を 通じて流している.研究会として取り組んでいる大きなプロジェクトは生体信号データを取り扱う際の共通フォーマットの提唱と論文集のPDF化である.共通 フォーマットは生体信号処理の解析を試みる際に共有できる生体信号データベース作りに欠かせない.また,論文集のPDF化は広く論文集を配布する手段とし て,また,研究活動の記録として,この分野を目指す若手研究者の情報源となることを期待している.
研究会の今後の展望
来年度は,第9回を関西(標準フォーマットの作成),第10回を金沢(生体生理工学シンポジュウムとの共催),第11回を新潟(日本エムイー学会 秋季大会:スポーツ医学における計測と評価),第12回を関東で予定している.特別講演以外に,実際に生体信号計測を実演しながら,その場で生体信号解析 まで行ってみる試みを引き続き実施する.特に,非線形モデル,多次元信号処理,時間周波数解析などを用いて,医療から健康までの分野で生体信号に関わる基 礎から応用までの様々なテーマを議論していく予定である.
本会への要望・意見
研究会を情報化するため,また経費の削減のため論文集をPDF化する予定である.このような媒体でも正式な記録として学会は認めてもらえるのだろ うか?また,生体信号データの標準化についての提言を平成10年度の夏までに提出する予定である.昨年も要望したが,「理工系離れ対策としての講演会開 催」への文部省科学研究費の申請はできないものであろうか?
平成10年度会長 氏名 木竜 徹
平成10年度幹事 氏名
赤松幹之(通産省工業技術院生命工学工業技術研究所生体情報部),岡 久雄(岡山大学工学部電気電子工学科),小笠原 康夫(川崎医科大学医用工学),清水孝一(北海道大学大学院工学研究科),鈴木幸司(室蘭工業大学情報工学科),戸田尚宏(豊橋技術科学大学情報工学 系),中尾光之(東北大学大学院情報科学研究科),野村泰伸(大阪大学大学院基礎工学研究科),早野順一郎(名古屋市立大学医学部),福本一朗(長岡技術 科学大学生物系医用生体工学教室),牧川方昭(立命館大学理工学部ロボティクス学科),三田勝己(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所),八名和夫 (法政大学工学部電子情報学科),山本義春 (東京大学大学院教育学研究科),山家智之(東北大学加齢医学研究所),吉田正樹(神戸大学工学部情報知能工学科)
専門別研究会「生体機能の計測と解釈のための信号処理研究会」平成8年度事業報告
木竜 徹
平成8年度事業報告(1996.4.1〜1997.3.31見込み)
開催回数 3回
開催時期 1996年8月29日(新潟大学,参加者20名)
1996年11月29日(大阪大学,参加者50名)
1997年2月10日(生命工学工業技術研究所,参加者26名)
総括
本年度は3回の講演会と3回の研究会を開催した.第1回の研究会は8月29日(木)に新潟大学においてを行った.特別講演では新潟大学脳研究所教 授の中田 力先生がMRI画像で脳内の神経軸策の分布を画像化した極めて興味深いご研究を,また新潟大学医学部教授の板東武彦先生がHMDにより眼球の輻 輳運動がどのような影響を受けるかに関して,それぞれご講演があった.一般講演は,運動時の生体機能に関するテーマが3件,心電図データ圧縮に関するテー マが2件,HMDに関するテーマが1件であった.第2回の研究会は,11月29日(金)に大阪大学において計測自動制御学会「第11回 生体・生理工学シ ンポジュウム」と共催で行った.演題は,日常生活行動の計測に関するテーマが3件(加速度波形の識別にWaveletを用いたものが1件),福祉・リハビ リテーションに関するテーマが2件,心拍変動に関するテーマが3件(心拍変動のうちWaveletを用いたものが2件),心電図の個人識別に Waveletを用いたものが1件,合計9件であった.本年度最後の研究会は平成9年2月10日に工業技術院生命工学工業技術研究所で予定している.な お,9月23日東京大学山上会館で生体信号解釈国際会議(The Second IFMBE-IMIA Workshop on Biosignal Interpretation,事務局代表:大阪大学教授 佐藤俊輔)のサテライトシンポジュウムとして,この分野の著名な研究者を集めた講演会が本研究会との共催で行われた.特別講演は,10件であった.
本年度は,研究会として運営方式を情報化してきている.すなわち,メイリングリストを引き続きspmibf@times.niigata-u.ac.jpで運営するとともに,ホームページをHttp://www.info.niigata-u.ac.jp/times/spmibf/で 開設した.その内容は幹事リスト,研究会スケジュール,研究会記録,役立つ情報などからなる.特に,役立つ情報では若手研究者がこの分野を目指す際に先達 となる参考図書や参考文献を順次リストアップしている.また,研究会記録では研究会の際の抄録をスキャナーで取り込み,画像化してホームページへ掲載し た.これにより,研究会毎の講演論文集の発行を代用している.講演論文集は2年分をまとめて発行する予定で,この様な方式がはたしてうまく行くのか試行中 である.経費の上では研究会の運営はわずらわしさが無くなるであろうが,ホームページへのアクセスがむしろ研究者の参加を制限するものになっているかもし れないので,調査が必要である.
今後の展望
来年度は,第4回を神戸,第5回を新潟,第6回を仙台,第7回を名古屋で予定している.特に,神戸では実際に生体信号計測を実演しながら,その場 で生体信号解析まで行ってみる試みを考えている.新潟では,電子情報通信学会のディジタル信号処理研究会との共同開催を交渉中である.高齢化,在宅医療, そして健康を対象に基礎から応用までの様々なテーマを議論していく予定である.
要望,意見
現在,研究会の情報化がどの様な経費削減をもたらすのか試行中である.なお,ホームページとは別途に手紙にて,年間スケジュールを2回送る予定に している.これについては,2年間の活動後に報告したい.電子情報通信学会で行われているような「理工系離れ対策としての報告会」への文部省科学研究費の 申請はできないものであろうか?
平成9年度会長 木竜 徹
平成9年度幹事 氏名
赤松幹之(通産省工業技術院生命工学工業技術研究所生体情報部),岡 久雄(岡山大学工学部電気電子工学科),小笠原 康夫(川崎医科大学医用工学),清水孝一(北海道大学大学院工学研究科),鈴木幸司(室蘭工業大学情報工学科),戸田尚宏(豊橋技術科学大学情報工学 系),中尾光之(東北大学大学院情報科学研究科),早野順一郎(名古屋市立大学医学部),福本一朗(長岡技術科学大学生物系医用生体工学教室),牧川方昭 (立命館大学理工学部 ロボティクス学科),三田勝己(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所),八名和夫(法政大学工学部電子情報学科),山本義春 (東京大学大学院教育学研究科),山家智之(東北大学加齢医学研究所),吉田正樹(神戸大学工学部情報知能工学科)